【感想】エール
最高だった。
朝ドラをみて生活している民に、最高のエールだった
※ネタばれありです。
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物語の前半は、主人公の裕一を初め、久志や大将たちのクリエイターとしての苦悩とよろこびを丁寧に描くことで毎週、きっちりカタルシスを得ることができて、気持ちよく一週間を終えるとこができた。それゆえに、しんどい回があっても、必ず週末に取り戻してくれるという信頼感により、毎日、安心してみることができた。
たとえ、音や五郎の様に、クリエイターとしてて本来の成果を得られなくとも、必ず何かを手にいれてる。例えばチャリティーを通じて歌を届けたり、大切な人をみつけるといったように。
ただ、中盤、戦争のフェーズになり息がつまる展開が続く。容赦なく戦争の残酷さが描写される。裕一は苦しみながらも戦時歌謡を出し続けて、さらには戦地にて恩師・藤堂先生の死を見届けることになる。特に藤堂先生がが死ぬシーンは、戦地のリアリティーを存分に感じさせるクオリティのため、我々視聴者にも裕一の衝撃が十分に伝わるものだった。
観るものにそれなりの負荷を要求する戦中のストーリーだが、終わってみれば、裕一という一人の人間の成長を描く上で必須であった。
戦中のドラマをしっかり描いたからこそ、裕一がどれほどの苦しみを乗り越えて作曲にいどんだが、どれほどの強い思い強く人にエールをおくる曲をつくりたいかがわかる。
加えて、戦後、描かれる凪の様に穏やかで幸せな時がどれほどに尊いか、ひいては平和の素晴らしさを強く実感できた。
裕一だけではなく、ほとんどの登場人物が戦争で傷つく姿をみるのは本当にきつかったが、終盤、全員が救われるのが本当にうれしくて毎日感動できた。
特ににプリンスだった久志が、アル中にまで堕ちて、そこから復活し、栄光は君に輝くを歌った時は朝から号泣してしまった。
ちなみに、一番好きなシーンは、福島三羽烏と下駄屋の娘と音が、裕一の家で酒を飲み、踊り、そして歌うところだ。エモすぎ! これほどにハッピーでピースフルな気持ちになる朝ドラには会ったことがなかった。
そして、本作を特異なものにしているのが、コロナ禍に制作・放映されたという点だろう。緊急事態宣言中、放送が中断されるといった、さまざまな困難を乗り越えてこの様な素晴らしいが放送できたという事実は、内容もあいまって、本当に励みになった。
まさにエールだった。
制作スタッフに感謝したい。