よかった。序盤は怪獣の挙動に魅せられ、中盤は長澤まさみの巨大化に惹かれ、終盤はウルトラマンの人間への思いに心打たれた。
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怪獣の挙動がなんとも言えない、未だかつて見たことのない質感で見ごたえあった。着ぐるみっぽい質感を残したCGはそれだけで見ていて飽きない。単純に昭和をオマージュしているだけでなく、昭和の特撮ではなしえかっただであろう、怪獣のダイナミックな動きも目新しい。
会話パートもバトルパートに負けない秀逸さ。長尺の会話シーンは一歩間違えば、退屈極まってしまうが、コントの様なやり取りで笑いを誘い、加えて、頻繁にカットチェンジ(しかもどのカットも様々な構図を採用している)を行うことで、まったく退屈を感じない作りになっていた。
話を追うごとに、新しいコント、新しい構図のカット、新しいバトルがどんどん提示されるので、目が飽きる暇がない。ただ、今まで見たことないモノで驚きは、巨大化する長澤まさみで極まってしまった感がある。ここが凄すぎた。コント、「美女が巨大化されたら」とも呼べるフェーズは、一番の笑いどころだったし、長澤まさみという素材を最大限に活かしていた。
それ以後は、メフィラスとのバトルは、そこそこよかったが、ゼットン戦がだいぶ単調だった。それまでの画が刻々と変化していくが、ゼットン戦に関しては、画がだいぶ単調になるし、キャラクターの動きも少なくなっていき、正直、迫力不足だった。敢えて、昔の特撮的な、引きの画で、動きの少なウルトラマン(人が入っていないタイプの人形っぽい)を映していたは興味深かったが、それでも序盤から続いた高いテンションを維持できるものにはなっていたかった。
とはいえ、終盤も見どころはちゃんとあった。ウルトラマンが人生をかけて人類を救おうと決意し、仲間共にそれを成し遂げる展開はムネアツであった。ウルトラマンだけでは、どうしても倒せない敵を、人間の叡智で弱点を暴き、それをウルトラマンが突くというチームワークが機能するという王道展開は物語の集大成にふさわしかった。
今作は、シンゴジラで花開いた「シン」ユニバースの評価を確固たるものにし、次の「シン・仮面ライダー」への期待を膨らませるものに仕上がっていた。