IT社員の公私混同2

ゲーム開発者が、映画、ドラマ、アニメと言った趣味について書くブログです。

【感想】シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

『これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版』+『シン・エヴァンゲリオン劇場版 冒頭12分10秒10コマ』

最高だった。
エヴァ新劇場版のラストとして、そして、これまでのエヴァの集大成として傑作だった。

〈スポンサードリンク〉

 

まず、前作まででストレスを一気に解消したカタルシスいっぱいの展開がよかった。
前作では、一体、ゲンドウは何がしたいのか、ミサトさんは何のために戦っているのか、シンジが宇宙空間をさまよっていた時、一体何が起こっていたのかといった様々な疑問がうずまき、しかもそれらがよくわらかないままで終わってしまった。加えて、主人公のシンジが想像を超える理不尽な状態に直面している過酷な状況に陥言っていることに対するストレスがえげつないほどに高まった。

※まさにこれ

だが、本作では、これらの謎が解き明かされ、シンジをはじめとする登場人物たちの思いが実現するという大きなカタルシスが得られた。

例えば、序盤の第三村の下りでは、前作では圧倒的に不足していたシンジがいない間に何があったのかが、相田を通じて丁寧に説明されていた。
また、ミサトたちが何をしようとしているのか、何を守っているのかもこのはっきりと理解できた。ミサトたちからのシンジへの理不尽な扱いも同様だ。

また、ここでの生活を通して、シンジの気持ちが少しづつ動いていく過程も描かれていたのもよかった。自分の過ちにしっかりと向き合い、同級生、そしてミサトの息子とたちが住むこの村の生活を守るために再びブンダーのろうと決意するシンジには、しっかりと成長の跡を確認できた。

正直、第三村の下りは、めちゃくちゃゆるくて、これは本当に時間を割く価値があるのかと一瞬だけ疑ってしまったが、それは完全に間違いであった。ゆるい中にも、プラグスーツで農業をするレイ、圧倒的躍動感でレーションをシンジの口にねじ込むアスカなど絵的な見どころもあったのもよかった。

そして、中盤以降、さらにカタルシスが押し寄せる。
ブンダーの艦隊戦、エヴァの白兵戦と映像がめちゃくちゃかっこいいし、謎はガシガシ明らかになっていくし、圧倒的な爽快感を感じられた。あのクソメガネ親父が、自分の恋人に会いたいというただそのためだけにこの地獄をつくったという事実は本当にすっきりした。彼の思いは新劇場版だけでなく、TVアニメ版・旧劇場版をみてもずっと謎だったので、これがわかる気持ちよさといったらなかった。
そしてゲンドウの一連の行動が、綾波を取り戻すためにニアサードインパクトを起こしてしまったシンジと被るのがエモかった。ゲンドウの気持ちがちょっとわかってしまう奇妙な体験ができた。

そして、終盤、ブンダークルーとミサト、そしてシンジが力を合わせてアスカの救出、そしてゲンドウの計画阻止へと動き出す展開はムネアツの一言につきる。前作から理不尽になふるまいをしていたミサトが、シンジと手を取る姿は、前作のストレスを吹き飛ばす展開だった。そして、2作前で綾波を救えかったシンジが、アスカを救うことに成功することがたまらなくうれしくなった。加えて、アスカを救った場所が、旧劇場版での迷言「気持ち悪い」が放たれたあそこというのも、最高だった。あの時感じた最高に意味不明な感情がやっと昇華された思いがした。これだけでも、エヴァが終わった感がある。

最後は、世界の改編するという予想しがたい展開で、トゥルーエンドを引き寄せるシンジの意志と能力に鳥肌がたった。逃げちゃだめだでおなじみの少年がここまで成長したことに、エヴァ直撃世代は何も感じないわけがない。
思えば彼が自分の意思を貫徹してやりきったことはなかったように思う。20年越しに友人の晴れ舞台を見る思いだ。

一つの作品としてみたときに、世界設定やSF的な設定をきちっと説明できていないのは気になる。
(ゼーレとはなんだったのかとか、ラストバトルが行われあの空間はなんなのか等々)
だが、それがエヴァだ。小出しの情報であーだこーだ考えるのが本シリーズの楽しみだった。わけのわからなさも、もはやご褒美である。

エヴァに大きな区切りがついたが、まだまだエヴァで楽しめる予感がしている。最高だった。これがみられる日本にいてよかった。