スパイダーマンシリーズがそんなに好きではない私でもさすがに面白かった。
※ネタバレありです。
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ただ、序盤は、話がどこに向かっているかわらかずに正直、眠かった。
炎上に苦しむ下りがちょっと長すぎたのと、ストレンジが持ち前の天然を発揮して他のユニバースからヴィランたちを呼び出してしまうまでの展開が退屈だった。
原因としては、パーカーに心理的な葛藤がなかったため、ドラマとしての見どころがなかったからだと思う。ヴィランが登場した後と違い、序盤のピーターの心理的な葛藤が見られなかった。恐らく、基本的にはピーターとその友人の私的な課題(大学の進学など)であり、ピーターが葛藤するといったことがなかった。
そんな前半があっても、やはり3人のスパイダーマンが集結してからの展開はムネアツだった。
3人ならではの掛け合い、例えば、アンドリュー・ガーフィールドに対して、トビー・マグワイアが「君はとてもアメイジンだ」いうシーンみたいのがたくさんみれた。
ただ、そういった表面的な部分だけではなく、3人の関係性がストーリーの本質にコミットしていたことが何より素晴らしい。本来であれば、孤独なヒーローであり、大切な人を失った喪失感を抱いている男であるピータ―には、寄り添える者はいないはずだ。だが、別の世界のピーター達は違う。同じような境遇、同じようなパーソナリティを持つ者にしかわからないことを、彼らとならばっちり共有できる。常に孤独と思っていた男に、背中を預けられる男が2人も現れるなんて、こんなに素晴らしいことはない。
そしてその3人が挑むミッションが、単に敵を退けるだけでなく、その敵を「治療」して全員を救うという究極のハッピーエンドを目指すというのも、これまでのシリーズの知見が多少でもあれば、ぜひとも成し遂げてもらいたないものであり、結末に向かって引きは十分だ。
スパイダーマンのヴィランは、突如もたらされた「大いなる力」によって、ダークサイドに堕ちた者であり、一歩間違えば、パーカーたちにも起こり得た未来の在り方だ。
そういった彼らをも救おうという大きなプロジェクトは、ファンにとってはぜひとも成し遂げてもらいたいものである。
そして、そのプロジェクトを達成するために、パーカーが、大切な人たちから自分の記憶を消すという決断をすることには胸を打たれる。「大いなる責任」を果たすために、本作の序盤にあれほどに嫌がっていたことを受け入れるのは、序盤の展開とは違い、非常に劇的であり、観る者の心を動かすものだ。
これは傑作だと認めざるえない。
ただ、ヴェノムが全然出てこないことはだけはマジで許さん!! スパイダーマンノーウェイホームに続く物語って言ったじゃん!!