何より素晴らしいと感じたのは、いかにもSFっぽい物語の軸がSFっぽく解決される点だ。
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今起きている現象を次々と予言するAI・セブンが起こす事件を解決するという主人公たちが取り組むべき問題が、目覚ましい現代社会に生きる身としては非常に近未来的に感じられた。高度に発達したAIという、私たちの未来で誕生しそうな技術が、私たちの未来で問題になりそうな事件を起こす展開が、硬派なSFみを感じさせる。いかにも「SFみてるなー」って実感がわいてきて、ワクワクした。
(ラストのラストで、実は、その虐殺を主人公たちが防いたことさえも、全てセブンポエムにより予言されていたと明かされる展開もますます「SFみている」実感がわいてきた)
加えて、セブンによってもたらされる虐殺というストーリー上の最終的な課題の解決を、脳内に埋め込まれたインプラントとAIによる思考の補助によってなされているのも、SFの醍醐味を感じられる要素になっていた。
非常に近未来的な手法で解決するのが、目新しく、終盤の展開を印象付けることに貢献している様に思う。
進化することにより、これまで理解できなかったものを理解できるようになる展開は、ガンダムのキャラクターがニュータイプへと覚醒することで描かれており、それ自体は別に珍しいものではない。個人的にはこれはオカルトチックでちょっと納得しづらかった。しかし本作は、もっともらしい科学的(に思える理屈で)裏付けされていたので、非常にわかりやすかったし、説得力があった。
加えて、本作は背景アセットのアートワークに独自性があったのも見どころに思えた。日本人がいかにも住んでいそうな「生活感のある宇宙ステーション」は、今までみたことがなかった。看板のテキストだったり壁のカラーリングだったりが全然スタイリッシュではく、日本人に親しみの持てるデザインになっていた。既存の日本のSFアニメだと、どうしてもスタイリッシュだったり、デザイン性に優れている反面、生活感がなく、「人が住んでいる感」がなかった。だが本作では、ステーションにはどことなく地元感があふれ、宇宙で生活しなければならない主人公の生活がびっちり染みついていた。それゆえに、彼にとって宇宙という場所が当たり前に場所であることを、どことなく感じることができた。
非常に見ごたえがあり良い作品だった。