IT社員の公私混同2

ゲーム開発者が、映画、ドラマ、アニメと言った趣味について書くブログです。

【感想】花束みたいな恋をした ※ネタバレあり

 

【映画パンフレット】花束みたいな恋をした 監督 土井裕泰 出演 菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、オダギリジョー、

 

いやー、エモい。エモすぎ
そして切ない。エモさと切なさの幕の内弁当だった。

 

※ネタバレありです

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そもそも出会いがエモい。

麦や絹の様なサブカル陰キャは、普段から疎外感を感じているのだから、同士を見つければ、それはうれしさで脳がスパークする。それが、顔面が菅田将暉だったり有村架純の様な見た目の異性なら尚更である。サブカル陰キャなんだから、押井守で智にテンション上がるなんて、運命を感じるのは当然である。
知れば知るほどに同じ様な趣味嗜好を持っていることを知り、そしてお互い嗜好や考えを尊重しあえるんだから、一緒にいたいと思うのは当然である。

 

そんな尊い存在と川沿いに住んで、一緒に焼きそばパンを買って歩き、川を観ながら飲み、日差しを浴びなら二人でベットでマンガを読んで泣く。激エモなシチュエーションがこれでもかと描かれる。

 

それ故に、それが壊れていく過程がとてもとても切ない。しかも壊れていく過程が、ただ一緒の時間をもっと過ごしたいという麦の思いから始まってしまうから、これまた切ない。

仕事が忙しくなり二人の大事にしてたものを、麦が興味を持てなくなり、ぴったりはまっていた二人の感覚がずれていくのがほんとうにやるせない。好きだった本を積み存外に扱うことになった麦は絹と出会った時とは変わってしまった。価値観だけではなく生き方まで変わってしまう。「やりたいことはやらなくていい」と絹を救った言葉を自ら否定するほどに彼の価値観はかわってしまう。
ただ、これほどに彼ががんばったのは、全て絹との生活を守りたいという強い願いからはじまったからだ。そんな彼の選択が、彼を変え、二人の関係性を変えてしまうという皮肉が悲しく切ない。

結婚式の帰りのファミレスであの時と同じように話すカップルをみた彼らは、そのことを思い知らされたんだろう。
このシーンは本作のエモさと切なさが凝縮されてて最高だった。

 

二人の関係が壊れてしまうというラストだが、本作のようにネガティブな事態に陥る場合、それに至る過程に説得力が必要だが、それが十分だった。

 

また随所に坂元裕二らしい独特のセリフもいい味だしていた。絹が圧迫面接を受けたことに怒った麦の「その人はいまむら夏子のピクニックを読んでもきっと感動しないような人だよ!」というセリフはとても印象に残っている。それゆえに、そのセリフが伏線となる後半のシーンに効いてくる。

 

また観たときに感動できない人間にはなりたくないと思えるほど、ほんとうに素晴らしい映画だった。