IT社員の公私混同2

ゲーム開発者が、映画、ドラマ、アニメと言った趣味について書くブログです。

【感想】MIU404

すばらしかった。登場人物たちの心理描写の巧みさ、そして登場人物の心理が変化していく様子を説得力をもって描いていたのが素晴らしかった。

 

※ネタばれありです。

スポンサードリンク

 

 

例えば、ミムラが出ていた回で、銃を持った犯人に対する志摩の態度と、Ryoが出ていた回と犯人に対する志摩の態度の描き方が本当にすばらしかった。

 

前者は、あとから見れば、相棒の死を引きずり捨て鉢になっていたことがはっきりわかる。そこに、伊吹が相棒の死の真相を明らかにするという出来事を経た結果、Ryoの回では志摩は伊吹と連携を取り犯人逮捕に挑む。伊吹の肩を掴んで犯人にとびかかるカットなんかは、相棒を信じてもう一度、刑事としてがんばろうという伊吹の心理がよくわかる場面だ。

 

心理描写も秀逸だし、心理が変っていく様子もはっきりわかるし、なぜ変わったかも完璧に理解できる。

それ故に前回までの話を受けて、志摩や伊吹が成長していくのがわかる。

そのことがとてもうれしくなる。本作の制作人は、人間が成長する過程を描くという、王道の物語を見事につくりあげた。

 

また、本作は、観ている人に希望を与えるドラマだったのも素晴らしい。

志摩は、相棒を失ったという罪悪感から、伊吹が見つけた真実、「自殺ではなく事故死であり、そして最後まで刑事としてふるまっていたこと」により救われるシーンはまさにその典型であった。大切な人の死という変えることができない絶望的な過去であっても、その人の思いを知ることで、光を見つけられるかもしれないという、希望を感じさせる展開だった。

 

そして、本作が描く希望は、「日本に今生きる人」にとって特に意味を持つものであった。

本作は終盤、人間は、選択を迫られ、一つの選択のミスでたくさんの人が傷つくことを描いている一方で、それでも必死に選択していくことに意味があり、間違ったとしてもやり直せばいいと伊吹や志摩は語っている。それらの主張は、伊吹の見つけた真実により、志摩が希望を見つける過程により、強い説得力を持っている。

 

私たちは、ここ数か月、たくさんの決断を迫られた。仕事を続けるのか、やめるのか、外出するのか、家に籠るのかといったコロナにまつわる決断だ。あるものは決断を誤り非難された。本作の訴えは、そんな私たちを大いに励ますものだと思う。

 

VODが登場し、リッチな海外ドラマがいつでもどこでも見られる時代、日本の民放のドラマの意義が問われている。本作は、今生きる私たちに向けてつくるということが大きな意義であることを教えてくれた。

 

※アンナチュラルは9.11以後を生きる私たちに希望を与える作品だったことを書きました

sonykichi.hatenadiary.jp

〈スポンサードリンク〉