なんというかつかみどころのない映画で非常にわかりづらかった。
冒頭、主要登場人物の素性や抱える問題みたいなところはちゃんと説明されていたのに、ここまでわかりづらいのは不思議だ。
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わかりづらさは、小松菜奈が性的な暴行に会うまでは非常にわかりやすいのだが、終盤、各々の持っている問題がぬるっと解決するのが原因な気がする。
小松菜奈の抱える問題として、「居場所がない」「性的な暴行によるトラウマ」とかあるわけだが、それがなにやら知らないところでぬるっと解決している。まさか偶然出会ったホステスに救われるとは......。
綾野剛にしてもそうだ。「突発的な発作が起きる」、「母親の介護問題」などを抱えているわけだが、鶴瓶も小松菜奈もいない状態で問題が解決しており、流れの中でこれまで積み上げた要素によって解決したわけではないように見える。鶴瓶を救いたい一心で勇気を振り絞った結果なのかもしれないが、判然としない。
一番の問題は鶴瓶で、そもそもどういう問題を抱えていたのかわかりづらい。
終盤、「これ以上生きていたくない」という思いが爆発するわけだが、もっとわかりやすい形で序盤にこの思いを提示すべきだと思う。死刑を潜り抜けた時点で、そういう思いをしていたと思えなくもないが、これも判然としない。陶芸をどういう思いでしていたかとか、どういう気持ちで小松菜奈を助けようとしたのかなどの心理描写をもっとすればそれがはっきりとわかったかもしれない。
原作が小説なので、そういう感情の機微はきっと細かく描かれてたいたと思うが、映画化の過程でそれらが抜け落ちているように思える。
割と真面目につくっているのに色々と残念な出来だった。
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