罪の声みてきた。おもしろかった。
だいぶ前に書いたのに放置していたので、このタイミングになった……
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全体的な構成がすばらしい。
主人公(星野源)の人となりを示す描写を最初の数分で示し事件のテープを発見して、事件に巻き込まれていくという序盤のパート
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そして事件の真相に迫ることで、もう一人の主人公と出会って、ともに捜査を進めて、もう一人の声の主を見つけ出す中盤のパート
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声の主から得た情報で、今も生きる犯人をみつける
といった一連の流れは無駄がなく、かつ自然だった。
ただ、中盤、星野源と小栗旬の視点が場面に応じてスイッチする際に、頭の中で事件に関する出来事を整理するのが難しかった。
一人の視点だと、判明した事実の周辺からあらたな事実がわかるので事実と事実の関係性がわかりやすい。だが、2人の主人公が事件を調べることで、浮かび上がる事実のそれぞれの関係性を把握しづらくなっていた。
これは構造的な問題で解決しづらいと思うが、例えば、小栗旬のいた会社のホワイトボードや星野源の手帳の描写を入れると多少、マシになった気がする。
ただ、終盤、このダブル主人公の良さが発揮される。2人が同時犯人を追い詰めるので、短い間に一気に真実が解明し疑問が解決する。ここで感じられるカタルシスは、この映画ならではでこの映画の価値を高めている。
また、アンナチュラルでお馴染み野木亜紀子らしさもストーリー全体から感じ取れた。彼女は、「過去を解き明かすこと」の意味や意義をアンナチュラルでもMIUでも描いている。本作も同様だ。
時効になり真実が明らかになったとしても、犯人が捕まることもなく、社会的な意義は低いように思えることも、真実が明らかになることで、「罪の声」持ち主とその家族たちが救わる。悲しいことが起きてしまったという事実は変わらないが、彼らの中に何か踏ん切りがつき、前にすすむ姿には大きな感動を覚えた。いい映画だった。